「ひ、宏…」
「大丈夫、何もしないから」


何もしない。
その言い方がひどく優しくて、つい体の力を抜いてしまう自分がいた。



「……いい子」


そう言って、ふっと小さく笑う宏の声はどこか満足気。



頭も撫でられ、なんだか気持ちよかった。


「美羽、本当に可愛い。
もう一度寝ていいよ」



ダメだ、さっき完全に目が覚めてたはずだったのに、また眠気がやってくる。


「宏…」
「なに?」
「眠くなってきちゃった…」



宏はいつも私を抱き枕にしてくるから、今日は私が彼のことを抱き枕にしてやろうと思い、ぎゅっと抱きつく。



あっ、これはいいかも。
ぬいぐるみや抱き枕なんかよりずっと寝心地いいかもしれない。



絶対そうだ。
宏が私を抱き枕にしたい理由がなんとなくわかった気がする。



結局私は宏に抱きつきながら、もう一度眠りに落ちていた。