「んー…美羽…?」
少し掠れた低い声で、宏が私の名前を呼んだ。
ようやく目が覚めたようだ。
「そうだよ、美羽だよ」
「おはよう美羽…」
なのに宏はまだ私に抱きついたまま、動かなくなってしまう。
「宏、二度寝はダメだよ。
ほら起きよう?」
「嫌だ…起きたくない」
「でも遅刻しちゃう」
「じゃあ美羽と休む…」
そう言って、ぎゅうっと抱きつく力が強くなった。
「休んだらダメだよ、起きないと」
「意地悪…美羽のケチ」
宏の声が少し不機嫌になる。
どうしよう。
宏が拗ねてしまった。
「宏、拗ねないで?」
「…拗ねてないよ」
「ほんと?」
「うん、本当。だから美羽と一緒に起きる」
私は寝てないのだけど…と思いつつ、素直に起き上がってくれて安心した。
ただ…。
「宏、ベッドから降りないと意味ないよ」
今度はベッドの上で、私に後ろから抱きつく形で動かなくなってしまう。



