「美羽、こんなに小さいんだね」
「宏…離して…」
自由が利かなくて、少し怖くなる。
宏が、宏じゃなかった。
これじゃあさっきと同じだ。
「もうダメ、限界。美羽、好き…大好き。
もう俺以外誰も視界に入れないで」
宏の綺麗な顔が私に近づいてきて、額を合わせられる。
さっきよりもずっと距離が近い。
「宏…?いきなりどうしたの?
私も宏のこと好きだよ?」
今更好きだなんて、どうして言う必要があるんだろう。
「違う、意味のない言葉はいらない」
「え…?」
ダメだ。
宏の真意がわからなくて、戸惑うしかない。
「今日の宏、変だよ…」
「ずっと美羽とキスしたいって思ってた」
「……っ!?」
すると突然、宏がとんでもないことを言い出した。
あまり聞き慣れない言葉に、顔が熱くなる。
「……ふっ、美羽可愛い。
照れてる」
私の反応を見て、宏は嬉しそうに笑う。
そしてまた頬に手を添えられた。
「宏…やだ、今の宏やだよ」
いつもの宏に戻ってほしい。
こんなの宏じゃない。



