「ひ、宏……いたっ…」
名前を呼ぼうとすれば、今度は手首を掴まれる。
その力はいつにも増して強く、痛い。
「なんでいつも美羽は…」
「……え…」
宏の表情は怒っているものだと思っていたけど、違った。
どこか切なげに歪んでいる。
「……好きなやつって、誰なんだよ?
もしかしてあいつ?」
「あいつ…って?」
「青谷」
ドキッとした。
まさかこんな簡単に当てられるとは思ってなかったからだ。
「なんで他の男見んだよ」
「……いっ…」
ぎゅっと、腕を掴む力がさらに強くなる。
「宏…!痛いよ…どうしたの…?」
少し涙で視界が歪む中、宏を見つめる。
宏はそんな私を見て、はっとした。



