「……きゃっ…!」
「危ない…!」
ぶつかったことによってバランスを崩してしまった私は転びそうになる。
思わずぎゅっと目を瞑った時、ふわりと何かに包まれた。
「うわっ、お前何やってんだよ」
「す、すいません…!ちゃんと前見ます!」
男の子二人は私たちに謝り、またすぐに走り出してしまった。
「……桜、大丈夫か?」
「う、うん…だいじょ……」
心配してくれた青谷くんに大丈夫だと言おうと思い、慌てて彼の方を向けば……
その距離の近さに、思わず息を呑んだ。
私を抱きとめる青谷くんの目も少し見張っていた。
宏とこの距離なら平気なのに、他の男の子だと慣れなくて緊張してしまう。
すぐ離れるべきなのに、石のように固まって動けない。



