「でも俺は危ないと思うんだよなぁ」
「危ない?」
「宏人のこと。
二人は付き合ってないんだよな?」
「付き合ってなんかないよ…!
幼なじみなわけだし」
「んー、でも向こうは桜と同じ考えじゃないと思うかな。桜の側にいたいから、幼なじみの肩書きを利用してるっていうか」
利用、だなんて。
あまり響きが良くない。
「あっ、ごめん、気悪くした?
そんなつもりはなかったんだけど……ごめんな」
だけどすぐ青谷くんに謝られたから、本当に悪気はなかったんだと思った。
「とにかく俺が言いたいことは…」
「ちょっ、お前走るなよ!」
「急がねぇと電車間に合わねぇぞ!?」
青谷くんが何かを言いかけたところで、男の子二人が反対側から勢いよく走ってきた。
私は慌てて避けようとしたけど間に合わなず、そのうちの一人と肩がぶつかってしまった。



