ーーードキドキ、苦しい…それってどういう感情だろう。
体験したことがないから、私にはわからない。
「桜、準備できた?」
「……あっ、うん…!」
人が少なくなった教室で、青谷くんに声をかけられた。
「じゃあ行くか!」
「うんっ…!」
爽やかに笑う青谷くんはやっぱりかっこいい。
どこか人懐っこい笑顔が親しみやすいのだろうな。
「……俺さ」
二人で集まりのある会議室に向かっていると、青谷くんが静かに口を開いた。
廊下には私たちしかいないから、変な感じ。
会議室までの道はまだ少し遠い。
「どうしたの?」
「委員会の相手が桜で良かったって思ってるんだ」
「えっ…?私で良かったの?」
「うん。桜は真面目だし、やることちゃんとやるし。でもどこかドジするから見ててほっとけないんだよなぁ。
今もすぐ転ぶんじゃないかって内心ヒヤヒヤしてる。なんか、生まれたての動物みたいだな」
「……」
褒められてるのか、貶されるのかわからなくてどう反応していいかわからなくなる。



