一瞬にして顔が熱くなり、逆に宏は余裕の表情に変わる。
「俺、相当重いけど、ちゃんとわかってんの?」
「重い……」
何に対してかあまりわからなかったけど、宏ならなんでもいいと思い、私は笑った。
「宏ならいい、なんでもいいの」
「あー……この鈍感女」
「好き」
「俺の方が好きだけど」
宏からの“好き”という言葉に、思わず顔がにやけてしまう。
「これからもずっと私の隣は宏がいい!」
「当たり前だ、離すわけないだろ」
「うん!宏が大好き!」
「今度は好き好きうるせぇ、もう言葉では十分伝わったから」
それだけ言うと、宏は意地悪そうな笑みを浮かべたから、なんだか嫌な予感がした。
だから慌てて俯き、宏から視線をそらしたけれど。
「ほら、逃げようとすんな」
「だ、だって嫌な予感がするんだもん」
「しねぇよ。ただ言葉だけじゃ物足りないって話」
宏が慣れた手つきで俯く私の顎を持ち上げ、もう逃げられないと悟る。
やっぱり宏は強引で、意地悪で、それ以上に甘い。
私は諦めて、というよりは、受け入れるように目を閉じた。
そんな私を見て、宏はふっと小さく笑った。
まだ、二人の時間は始まったばかり。
きっと言葉では言い表せない甘い時間が、この先にはある……そんな気がした。
END



