「そんなに褒めたっていいことないよ？」
「本音だから関係ない」
何やら宏が上機嫌になった。
朝とかさっきまで不機嫌そうだったのに。
その理由はわからないけど、宏が嬉しそうならいいかなって思った。
「早くお昼食べないとね、時間なくなっちゃう」
「じゃあ美羽食べさせて」
「もー、何子供みたいなこと言ってるの？」
「箸忘れたから仕方ない」
上手いこと言って、宏が私の方を見て笑う。
その笑顔はやっぱり可愛くて、つい甘やかしてしまう私も私だ。
「もう忘れたらダメだよ？」
「うん、気をつける」
この会話、もう何回もした覚えがあるけど、宏はやっぱり抜けてるからまた忘れちゃうんだろうな。
なんて思いつつ、宏におかずを差し出すと、彼は嬉しそうにそれをパクリと口にした。
