「そんな嘘で通用すると思ってんの?」
見ているだけの私まで怖いと思い、ビクッと震えてしまうほど、宏には圧があった。
ねぇ、宏。
今目の前にいるあなたが、本当の宏なの?
私の知っている宏は、本当の宏じゃないの……?
『じゃあ俺はまた、自分を作らないといけない?』
ふと、ある日の宏の言葉を思い出した。
自分を作る。
確かに宏は私に向かってそう言った。
その時にはもう十分ヒントは与えられていたというのに……私は宏の思いに気づかなかった。
というか、信じようとしなかったんだ。
じゃあ宏は……私の前で、自分を偽っていたということで。
今の女の子たちの話よりも、宏のことで頭がいっぱいだった。
それぐらい、目の前の宏を見て驚きしかなかった。



