「待ってたらお腹空くよ?」
「…美羽待っとく」
じーっと私を見つめてくる宏の目は、甘えたモードに入っていた。
「……わかった、じゃあ宏の席行くね」
そして私が肯定すれば、宏の目は子犬のようにキラキラと輝く。
この顔も好き。
本当に可愛いのだ。
「……美羽、やっぱりわかってない…」
「え?」
そんな私たちの様子を見て、ため息をつく莉子ちゃん。
「美羽、お腹空いたから早く」
「う、うん…」
さっきは待ってるって言ってたのに、莉子ちゃんに返事する前に手を引かれてしまう。
結局莉子ちゃんに何も言えないまま、宏の席へと行った。
「…美羽のお弁当、美味しそう」
「宏のも美味しそうだよ?」
「今日は美羽のお母さんが作ったの?」
「うん、そうだよ」
そう。
お母さんの仕事が忙しい時は、自分で作るのだ。