「桜って小さいから動き鈍そうだもんな」
「ひ、ひどい……事実だけど……」
「ははっ、やっぱり。
でも可愛いんだろうな、小さくて」
「絶対にバカにしてる」
じっと青谷くんを睨むように見つめるけれど、彼は逆に笑うだけ。
「じゃあ道具直したし、行くか」
「う、うん……」
さらには話を変えられてしまい、私は諦めて外に出る。
するとその時、近くで誰かの声が聞こえてきた。
倉庫は体育館近くにあるが、周りを見渡す限り人はいない。
だとすればあとは、体育館裏かな。
少し歩けば声がだんだんと大きくなった。
「おい、お前らはどういうつもりで言ったんだよ」
そして男の人の声が聞こえた瞬間、私は思わず足を止めた。



