それだけなのにドキッとしてしまうのは、私がおかしいのかな。
宏は少しの間私をじっと見つめたかと思えば、ふっと目を細めて笑った。
「見て見て、柊くん笑ってる！」
「何あの笑顔、すっごくかっこいい！」
それを見てまた女の子たちが騒いでしまうわけで。
私に向けられた笑顔なのにって、またモヤモヤとした感情が湧いてくる。
どうしてこんな気持ちになるのか、わからない。
そんな複雑な気持ちのまま、試合が終わるまでずっとその場にいた。
試合の結果は私たちのクラスが勝った。
本当はお疲れ様と言いたかったのだけれど、もうすぐで私たち女子も体育館で試合があるため、宏の元に行けなかった。
