ああ、やっぱりドキドキして。
宏の服をぎゅっと掴んだ。

それを合図にするかのように、宏の唇が離されて、なんだか寂しくなった。


もっと触れてほしい、だなんて思ってしまった。



さらに強く宏の服を掴む。
そのままじっと宏を見上げれば、彼は少し目を見張っていた。


「宏……」


小さく宏の名前を呼んだ。

私たちが小さい頃は、観覧車の中から見える外の景色ばっかに目がいっていたというのに、今じゃ目の前の宏でいっぱいになる。


幼なじみ、だったはずなのに。
もうあの頃には戻れない。

後戻りなんてできない。


「なんで今、誘うかな」
「えっ……」


またキスをされる……かと思いきや、宏は私をぎゅっと抱きしめた。