だけど周りを見渡せば、やっぱり視線を感じた。
「ねぇ、視線感じない？」
「んー、美羽はわからないでいいよ」
「何それ、気になるじゃんか」
「ねぇ、俺も美羽のやつ食べたいからちょうだい」
宏にそう言われ、私は先に食べてもらうことにした。
可愛さのあまり、中々食べることができないからだ。
「いいよ、はい」
家でも食べ合いっこをしているから、同じようにして宏に差し出す。
「こっちも美味しいね」
宏が美味しいと言ったのを聞き、私も同じようにしてそれを食べる。
「ほんとだ、美味しい！」
これは何度も食べたくなる味だなと思いながら、私は食べすすめた。
「……この時ばかりは鈍感に感謝しないとね」
「んー？何か言った？」
「食べ方も可愛いねって言った」
「なっ……！」
宏は満面の笑みを浮かべ、平然とそういうことを言う。
