視線のやり場に困る中、なんと二人は目の前でキスしてしまった。
「ちょ、こうくん、今二人きりじゃないよ?」
「嫌がらないからなーちゃんの負け!」
私は思いがけない行動に、思わずフリーズしてしまう。
その時、突然隣にいた宏に肩に手をまわされ、グッと引き寄せられた。
「ひ、宏……!?」
「俺たちも同じこと、する?」
「へっ!?」
同じことって、つまりは前のカップルみたいなこと!?
そう理解した瞬間、顔が一瞬にして熱くなってしまった。
「ふっ、すぐ照れるんだから。
頬が真っ赤、熱い」
「ひ、宏のバカ……ここ、人前……」
恥ずかしくなって、宏の腕にぎゅっと顔を埋める。
うー、宏のバカ。
私をドキドキさせることばかり言う。
「……ひっ!」
「んー?こうくんどうし……ひいっ!」
ぎゅっと宏の腕にまとわりついていると、前の二人がなにやら怯えた声を出した。
気になってパッと前を向けば、何故か二人は列を外れてどこかへ行ってしまう。



