「美味しそう……!宏、どれ食べる?
私中華まん食べたい!
あっ、でもチュロスとかでもいいなぁ……ポップコーンのケースも可愛いね!」
「美羽、欲張りすぎ。全部食べれないのに」
「えへへ、だって全部美味しそうなんだもん。どれにするか迷っちゃうね!」
メニューの看板を見つめながら、レジまでの列に並ぶ。
そこまではよかったのだけれど……。
「こうくん、後であーんしてあげるね」
「じゃあ俺は、なーちゃんに口移しで食べさせてあげる」
「やだっ、こうくんいやらしぃ、こんなところで」
「そう言ってやってほしいんだろー?」
私たちの前に並ぶカップルが、なんだかすごく甘くて気まずかった。
お互い手をつないで寄り添い、今にもキスをしてしまいそうなくらい距離が近い。



