ーーー「次はあれ乗ろう!」
それから二時間ほど経ち、私たちはすでに遊園地を満喫していた。
最初こそ堅かった由紀ちゃんと佐藤先輩も、今じゃ緊張もほぐれたのか、自然と笑い合ったり会話をしたりして、ぎこちなさがなくなっていた。
今では由紀ちゃんから、何が乗りたいかを言っていた。
「じゃあ次はあれ乗ろうか」
佐藤先輩は、はしゃぐ由紀ちゃんを愛おしそうに見つめている。
やっぱり二人は両想い、なのだ。
鈍感とか言われることが多い私だったけれど、さすがのこれにはわかった。
それぐらい、二人はわかりやすい。
そんな二人を微笑ましく思いながら、後ろについて行こうとすると、突然肩をトントンと叩かれた。
パッと隣を向くと、宏が人差し指を自分の唇に当てて『静かに』という合図をとる。
それで今からこっそり抜け出して、二人きりにさせるのだとわかった。



