「美羽」
「きゃっ……」
その時、突然宏にグイッと手を引っ張られ、バランスを崩してしまう。
宏の方へ倒れ込む私を抱きとめ、彼は私の耳元でぼそっと呟いて。
「メインは、後ろの二人なんだよね?」
宏の吐息が耳にかかり、肩がびくっと震えた。
それ以上に、宏との距離にドキドキして顔が熱くなる。
「ご、ごめん……すっかり……」
さっき私から、二人に合わせようって言ったのに。
「二人ともラブラブだな」
「えっ……」
完全に宏のペースでドキドキしていると、後ろから由紀ちゃんの声が聞こえてきてはっと我に返る。
そうだ!
ここは遊園地……!
急いで宏から離れて周りを見渡せば、チラチラと視線を感じてさらに恥ずかしくなる。
「うう……」
「美羽って本当にバカだよね」
「ひ、宏のバカ……」
じっと宏を睨むけれど、軽く笑って流されるだけ。
完全に私の負けだ。



