「ねぇ、立ち止まってないで早く行こう」
まだ話している途中だったし、色々聞きたいことはあったのだけれど、待ちきれなくなった宏が私の手を引いた。
「え、宏待って……」
慌てて止めようとしたら、由紀ちゃんと佐藤先輩に私たちを見て笑われてしまう。
「時間もったいないし早く行こっか。
智くんも行きましょう」
おお……!
由紀ちゃんはいつも『先輩』と呼んでいたから、名前で呼んでいるところを見るとなんだか新鮮だった。
じゃなくて!
二人がメインのダブルデートなのに、私たちが先行してどうする!
「宏、あのね」
なるべく二人に気づかれないよう、小声で宏に話しかける。
「……なに」
なぜか宏は不機嫌だったけれど、それどころじゃなくて話を続ける。
「今日は由紀ちゃんたちがメインだから、私たちが先行ったらダメだよ!向こうに合わせるんだよ?」
「でも俺たちが色々引っ張りながら、隙をついて二人きりにさせるとかはしないの?」
な、なんと……!
てっきり乗り気じゃないのかと思っていたから、まさかの提案に驚いてしまう。
それに二人きりにさせるなんていい考えだ。



