正直断ろうと思っていたから、宏の言葉は素直に驚いた。
「でも宏、嫌なんだよね……」
「美羽がいれば何でもいいよ」
「じゃあ、由紀ちゃんに言って大丈夫?」
「うん」
「宏、ありがとう。遊園地って久しぶりだから、宏と行けるの嬉しい」
確か、最後に行ったのは小学生の頃だったような気がする。
それも、宏と私の家族同士で。
だからまた宏と行けて嬉しいし、最後に行った時からもうだいぶ日が経っている。
遊園地が一度改装したって聞いたこともあるから、どんな風に変わったのか楽しみだった。
だけどなぜか宏が黙ってしまう。
また怒らせてしまったのかと不安に思い、顔を上げようとしたら、宏が口を開いた。
「美羽って俺弄ぶの好きすぎ」
「えっ」
「腹立つ。俺ばっかり狂わされて」
「ちょ、宏……苦しい」
ぎゅっと力強く抱きしめられ、さすがに苦しくて、宏に訴える。
「もう離してあげない」
「ぎ、ギブアップしますっ!」
「ダーメ、美羽から飛び込んできたから最後まで責任取ること」
そう言って離してはくれなかったけれど、さすがの宏にも苦しそうなのが伝わったのか、力は緩めてくれた。
その後も宏は、外の天気が落ち着いて、さらには私が眠るまでずっとそばにいてくれた。