ゆっくりと離され、目を開ければまた宏と視線が交じり合う。

宏の瞳はどこか熱っぽく、色気が感じられた。


顔だけでなく、全身まで熱くなったような感覚に陥る。


「俺さ」


宏は口を開きながら、照れている私をぎゅっと抱きしめた。



「何?」
「嬉しかったんだよ」
「嬉しかった……?」


一体何の話をしているのかわからなくて、宏の言葉を繰り返す。

何が嬉しかったの?


「俺だけが好きだって思っていたから、美羽からデートしようって誘われて」


本当に嬉しそうな声で話す宏。
だから余計に苦しくなった。


確かに『宏、今度の日曜日にデートしよう』って最初に言った。

それで宏を勘違いさせてしまったのだと後悔する。
最初に人数を言わなかったから、二人だって思うはずだ。