「宏……?」
「部屋、行こう」
「え?どうして?」
「ムードがあるから」
「ムード……?」
なんだかよくわからなかったけれど、宏の言う通り部屋に移動する。
部屋に入り、カーペットの上に座ろうとしたらまた雷が鳴った。
宏が来てくれたのが嬉しくて、すっかり忘れていたから不意を突かれたようで、声も出ないくらい驚いて固まってしまう。
「……ふっ、美羽怖がりすぎ」
そんな私を見た宏が、笑った。
優しく穏やかな笑顔で、安心感が胸いっぱいに広がる。
「だって、本当に苦手で……」
風邪も強いため、ガタガタ窓が揺れていてお化けのように感じてしまう。
「じゃあ美羽は、何してほしいの?」
「えっ」
「俺に、何してほしい?」
いつも通りの口調に声音で、宏は私にそう聞いた。



