クール系幼なじみの溺愛暴走警報



「宏?どうし……」
「他当たるってどういうこと?」


また、だ。
また宏の声が低くなり、怖くなってしまった。



「それは、一回青谷くんに頼んでみようかなって……」
「……なんだよそれ」


ビクッと、肩が震えた。
雨の中、はっきりと宏の声が届く。


低くて、静かで、口調が変わった宏。


「そうやってすぐに美羽は乗り換えるの?
いらなかったら切り捨てる?

美羽は俺のものってこと、ちゃんとわかってるの?」


だけど次に口を開いた時には、もういつも通り柔らかな話し方だったけれど、言葉は私を責めていた。


そう。
明らかに宏は怒っていたのだ。

さっきとは違って本気で怒っている。
でも、どうして?


「宏が無理って言ったから……」
「だから青谷に頼むって?そんな軽い女だとは思わなかった、俺」

「じゃあ宏が行こうよ……」
「そうやって調子のいいこと言って、俺じゃなくても別にいいんだよね?」


わからない。
どうして宏が怒るのか。


「宏と行きたいけど、宏がダメだって……」
「もう、美羽なんて知らない」


ドクンと、心臓が嫌な音を立てた。

ただ、次の言葉を口にするより前に宏は私の先を歩き出していて。