「お願い、宏」
「嫌だ、俺は怒った」
「怒らないで？ほら、絶対に楽しいよ？」
「二人がいい」
「二人は今度にしようよ」
「美羽のバカ」
ダメだ、このまま言ったところで同じ会話をループするだけになってしまう。
何か良い方法はないかと思うけれど、何もない。
「うーん……」
由紀ちゃんのために他に良い方法……と、思っていたら。
ふと青谷くんが頭に浮かんだ。
そうだ、デートと言いつつも男女なら別に大丈夫だよね？
本当に宏が無理なら、一度青谷くんに頼んでみようかと思った。
「わかった、じゃあ他当たってみる。
ごめんね、無理言って」
宏を嫌がらせてしまって申し訳ない気持ちになっていると、突然彼がピタリと足を止めた。
