雨音のせいで聞き間違いをしたのかと思い、もう一度宏に聞き直す。
「ごめん、もう一回言って」
「だから嫌だ」
二回目は、はっきりとした声で嫌だと言われてしまった。
「どうして嫌なの?」
「デートするなら美羽と二人がいい。他に人なんていらない」
「そ、それならまた今度二人でデートしよう?」
「嫌だ、美羽のバカ」
「宏……?」
隣にいる宏を見れば、むすっとしていて不機嫌なご様子。
「美羽から誘われたから浮かれてたのに、そんな理由とか聞いてない」
もちろん私は最初からダブルデートのつもりで誘い、理由を説明したのだけれど……どうやら宏は勘違いしてしまったようで。
それは申し訳ないな、と思いつつも私だって引き下がれなかった。



