その度に宏は、私が苦しくならないように守ってくれるのだけれど、『体幹がない』ってバカにされる時もあった。
「なんだかんだ、私って宏に頼ってたんだね」
すっかり私が守っていたものだと思っていたから、その事実に気づいていなかったのだ。
「これからは今まで以上に頼っていいから」
その時、電車がガタンと大きく揺れた。
すると宏は、ぎゅっと抱きしめる力を強める。
宏の腕の中にいる私は、やっぱり人に押されることがなく全く苦しくない。
「大丈夫?」
それなのに宏はまだ私のことを心配してくれた。
嬉しいよな、子供扱いされているような、複雑な気分だ。
頼っていいと言われても、どこまで頼ればいいのかわからずにじっとすることしかできなかった。



