「絶対嘘だ」
「本当だよ」
「何を我慢してるって言うのさ」
「みんなに美羽は俺だけのものって見せつけたい」
「もう十分見せつけてるよ!」
そのせいで、たった一週間という短い期間で広まってしまったのだ。
「まだ足りない。
キスとかいっぱいしたいな」
「なっ……」
「それからもっと抱きしめて」
「ひ、宏の変態バカー!」
そういうことを平気で言ってのける。
そんな宏なんて嫌いだ。
嫌いになってやる。
「こら、暴れない」
「離れるもん」
「ダーメ」
宏は暴れる私をさらに力強く抱きしめる。
さ、さすがに苦しい……!
「宏、苦しい」
「じゃあ大人しくすること」
「こんな方法ずるいよ」
もちろん私は暴れて離れることを諦めて、また大人しくする。
「ずるくていいよ」
「意味わかんない……もう学校行こう?」
「あと五分ね」
嘘だ。
そう言って宏は、時間を伸ばしていつも家を出るのがギリギリになるんだ。



