「青谷くん、ひどい……」
「ほら、拗ねてないで掃除始めよう」
もっと優しい人だと思っていたのに、意地悪だったなんて。
「うう……」
「悪かったって。な?」
謝る青谷くんは、まだどこか笑いをこらえているように見える。
「意地悪」
「桜が面白いから。反応も全部」
「そ、そんなことないもん」
青谷くんはやっぱり反省なんかしていない。
だって楽しそうに笑ってる。
「そ、掃除やる……!」
「じゃあやるか」
そう言った青谷くんは、窓に雑巾を当てて拭きはじめた。
私も同じようにして、青谷くんの隣の窓を拭く。
窓に水滴がつき、これを後で乾拭きしないといけないから中々作業が多い。
それに三年の廊下側全部だから、意外と長くて先は遠い。



