「いやー、青谷がね、うん」
「莉子ちゃん?どういうこと?」
「美羽、普通に考えて『連絡先交換しよう』っておかしいと思わない?」
おかしい?
全然おかしいところなんてない。
「ひ、柊!美羽が取られるぞ!」
「ちょ、風和ちゃん!?」
その時、突然風和ちゃんが宏に向かって話しかけた。
それも、なかなか大きな声で。
もちろん宏は反応し、こちらを向いた。
しかも、冷たい無表情をしていて、思わずビクッと肩が震えてしまう。
さっき、休み時間にテストの点数が良くて褒めてくれた優しい宏じゃなかった。
「これでいいのか、柊!」
「……どういうこと?」
ようやく口を開いた宏は、これでもかってくらい低く不機嫌な声をしていて、騒がしかったクラスが途端に静かになる。
一体風和ちゃんは何をしたいのだ。



