「何もないよ?
ただ勉強教えてもらっただけだよ!」
やっぱり鋭い莉子ちゃんは、何でもわかっちゃうのか。
それでも宏との関係が変わった経緯を話すなんて恥ずかしいため、なかなか口にできない。
「ふーん、怪しい……」
「まあまあ、ここ二人はスローペースだから仕方ないよ」
由紀ちゃんはそう言って莉子ちゃんを納得させようとしていた。
スローペースって、何のことだろう。
莉子ちゃんは今の言葉で伝わったみたいだけれど、私にはさっぱりだ。
それでも深く聞こうと思わなくて、私はお弁当のおかずを口に運んだ。
「じゃあ由紀はどうなったわけ?
“好きな人”と」
「……ぐっ、げほっげほっ」
三人の話を黙って聞いていると、莉子ちゃんは由紀ちゃんの恋愛話に変えた。
あまりに突然なもので、驚いた由紀ちゃんは何やらむせたようだ。



