「でも本当のこと言わないと、嘘つきになっちゃうね」
「じゃ、じゃあ私が起きる……」
「ほら逃げようとしない」
起き上がろうとするけれど、宏の抱きしめる力が強く腕の中から抜け出せない。
「うー……」
「心配しないでいいから、嘘だよ全部」
「言わない?」
「言わないよ。そんなに誤解されるの嫌?」
嫌っていうか、付き合ってないのに誤解されるだなんて、普通に良くない。
「誤解される前に、防がないと……」
「俺は誤解されてほしいの」
宏の声音は優しいけれど、言っていることは聞き逃せない。
「誤解されて困るのは私たちだよ?」
「困らない。美羽が俺のものになる」
俺のものって……もの扱いされても、どんな反応をしていいのかわからない。