顔を上げて宏を見てみれば、彼は穏やかな表情をしていた。
「平気。夜寝るの早いから」
「でもいつもより睡眠時間短いでしょ?」
寝不足で貧血になったら一大事だ。
「心配してくれる美羽は優しいね。
大丈夫だから、まだ寝てていいよ」
宏は私に優しく笑いかけると、私をぎゅっと強く抱きしめた。
「起きる」
宏はもう起きているのに、私だけ寝るのはどうかと思った。
「まだ時間はあるよ? 俺も寝ようかな」
「ほ、本当?」
宏も寝るのなら、私も寝ようかなって思った。
「あ、でも宏……いつも思うけど制服シワになるよ?」
「ちゃんとアイロンかけたら大丈夫」
「そうだけど……あまりシワとか目だったらよくないし」
「いいんだよ、それで。
もし誰かに何か聞かれたら、美羽とベッドで寝てましたって言えばいいから」
「そ、それはダメ……!」
そんなこと言ったら、余計誤解されてしまう。
ただでさえこの一週間、注目されているというのに。