「どうしていきなり?」
「甘いのが食べたくなったから!」
「今日はもう外に出たくない。美羽と二人で過ごしたい」
「買いに行く間も二人だよ?」
「ダメ。通行人に可愛い美羽を見られるのも嫌だから」
「宏こそどうして急にそんなこと……」
「美羽が可愛すぎて、今日はもう無理」
どうやら本当に嫌ならしく、ぎゅっと抱きしめる力を強められる。
「うー、せっかく甘いの食べたくなったのに」
「なら、ケーキより甘いのあげる」
宏がそう言うから、期待して顔を上げる。
もしかして宏の家にあるとか?なんて、期待した自分がバカだった。
宏はニヤッと悪そうに笑うと、また私にキスを落としてきた。
触れるだけのキスだったけれど、顔が熱くなるのには十分で。
「あとでたくさん甘いのあげるからね」
「ひ、宏のずる男!ひどい!」
そんな色っぽい宏から逃れるようにして離れ、私はキッチンへと向かった。