「美羽ができるわけないって言ってきたから、ムキになった」
ムキになったって、そんなにさらって言われても……宏は私がちゃんと意味をわかってないって絶対知ってた。
「宏の嘘つき」
「美羽が鈍感なのが悪い」
クスッと小馬鹿にしたように笑われ、さすがの私も腹が立って思いっきり睨んでやる。
私だってやられっぱなしじゃないもん。
「……その目、可愛い。
余計キスしたくなるって、わからない?」
「……っ!」
宏がこんなキスという、すごい発言ばかりする人だったなんて!
これが思春期の男の子っていうの?
そんなの危なすぎる。
宏に力は敵わないから、好き勝手にやられるだけになってしまう。
「……今日は我慢しようと思ったのに」
「嘘だ、勉強してた時も抱きしめてきたもん」
「あれはいつものことだから」
「そんなの知らない」
「ほら、怒らない」
宏が笑う。
どこか楽しげに、私の反応を見て。