「それは宏が宏だったから……」
「何言ってるの?俺は宏だよ」
「でも私の知ってる宏じゃない」
「それでもいつも美羽と一緒にいた幼なじみに変わりはないよ」
そう言って、宏は抱きしめる力を強める。
ドキドキと心臓の音がうるさくて、宏にも聞こえてしまいそうだ。
「宏、集中できない」
「ドキドキしてるから?」
「……っ、うん……問題が頭に入ってこない」
宏はどれだけ私にドキドキして欲しいのか。
朝と似たようなやりとりに、私は恥ずかしくて終わらしたいけど宏がそれを許さない。
「本当だ、頬も熱くなってるね」
宏は楽しそうな声で私の頬に触れてきた。
ダメだ、また宏のペース。
「宏、勉強したい」
「うん、だから問題解いて?じゃないと次に進めない」
それがこの状態で可能なら、こんなことは言わないのに。
宏はやっぱり意地悪になっている。



