クール系幼なじみの溺愛暴走警報



「美羽が中に入ってくれないと俺も中に入れない」


私がドアの前で道を塞ぐ感じになっているため、今度は困った顔をした宏。



「ご、ごめんね……」


ようやく動いた私だけど、心臓はバクバクとうるさくて緊張してきた。



「美羽?様子が変だけど、どうしたの?」


私の変化にいち早く気づく宏はそう聞いてきた。
だけど緊張しているなんて言えるはずがなく、首を横に振る。



「変じゃないよ?勉強が嫌だなって」
「そっか。数学嫌いだからな、美羽」


どうやら宏は信じてくれたようで、乗り切ることができた。



「今回の単元だと、どこがわからない?」


お互いテーブル越しに向かい合って座り、宏は私にそう聞いた。


「えっと……どこ、かな」


まだ少し緊張して、ぎこちなく質問に答えながら板書したノートを眺める。