「まあ、気をつけろよって話。
柊ってなんか色々危ないから」


「宏は危なくないよ……」


あっ、でもこの二日間で宏に対して危険を感じることはあったな。



「もしかして、心当たりあるのか?」


私が黙るから図星だと思ったのか、青谷くんがふと真剣な表情で聞いてきた。



「な、ないよ……!宏とは相変わらず仲のいい幼なじみやってます!」


慌てて笑顔を浮かべるけど、青谷くんはまだ納得がいかないような表情をしていた。


青谷くんはどこまでも優しい人だから、きっと心配してくれているのだろうな。



「本当に大丈夫だから……!ごめんね、心配かけて!でもほら、朝のことは本当にたまたまだからね、あはは……」


どうして私は冷静になりながら言えないのだろう。
焦っていたら認めているのも同然だ。


だけど今は乗り切るために、必死で笑顔を作る。


「……まあ、桜が大丈夫ならいいんだけど。
いつでも俺頼ってくれていいから」



きっと青谷くんには、朝のことや昨日のことを無理に隠そうとしているってバレてると思う。


だけど、それ以上深入りはせずに青谷くんは見過ごしてくれた。


そんな青谷くんに感謝しながら、私たちは教室までの道を歩いた。