「簡単っていうか、本当にそう思ってるからな」
「嘘だ」
「嘘じゃないよ。それに桜、自分が可愛いってわかってないだろ?」
か、可愛いってそんな……ありえない。
私が可愛いのなら、他の子はどうなるんだ。
「青谷くんの目がおかしい」
「うわ、すごい言われよう」
「だって私が可愛いだなんて絶対ありえない」
他の子にも失礼だ。
「まあ純粋なのも桜らしいよな。
何も知らない感じ」
そう言って青谷くんは優しく微笑み、私の頭の上に手を置いた。
「……青谷くん?」
「触れたくなる」
「えっ……」
青谷くんは数回頭をぽんぽんした後、手を離した。
「よし、今度こそ行くか。ありがとう、連絡先交換してくれて」
嬉しそうな顔をした後、青谷くんは歩き始めた。
私も青谷くんを追いかけ、二人並ぶようにして教室へと戻る。



