まだ、どんよりとした気持ちで学校を出る。

外では雨が降っていた。

自転車で急いで帰ろうかとも思ったけど、自分の足が走ろうとは動いてくれなかった。
自転車をおして、ゆっくり歩く。

あ〜ぁ、こういう時に晃がいたら気持ちが晴れるのに…

「ユキ⁉」

晃の声がした。

あんなことを思ってたから?
きっと幻聴だろうな…

「おい、ユキだろ⁉」
「わっ‼」

また、晃の声がしたと思えば、私の目の前に晃がいた。

…なんで?

「何してんだよ、雨降ってんのに…。」

傘を私の頭上へと傾けてくれる。

「…今、ユキ、なんでオレがここにいるか謎なんだろ?」
「っ…‼ち…違うし‼‼」
「まぁまぁ、強がるなって。」

前に進もうとしたら止められた。
なんとなく、嬉しかった。

「とにかくよ、話すことオレもユキもいっぱいあるだろ。カフェでも行こーぜ」

晃はそう言うと私にタオルをそっと渡し、カフェまで私を連れて行った。