俺は今まで、いろんなことから逃げて来た。
誰かと対立するのが怖くて、いつも人に流されて争いを避けて、言うことはなんでも聞いて…
自分で何かをやろうとした事なんてほとんどなかったと言ってもいい。
そんな、臆病者の俺が世界を、人界を救う?
はたからみたら笑っちゃうような話だ。

だけど…
だけど、やってみたかった。
世界を救う勇者になりたいとか、そういうのじゃなくて、ただ自分の意思で決めたことをやり遂げてみたかった。
地球でやり残したこと。
誰かのために、自分の意思で動く。
スケールの大きさは異常だけど、これが人界の人々の為になるなら、例え誰かに嗤われようと、ただのエゴだと言われても、俺はやってみたい。

この世界を、救いたい。

俺はギュッと手に力を入れて、こちらを見つめているフルーレティに真っ直ぐに瞳を向けた。
「俺、やるよ。アルカディアの為に…人界の人々の為に…そして、フルーレティの為に、俺戦うよ!」
そう言うと、フルーレティは一瞬目を見開きその後すぐにニコッと笑い、
「ありがとう!!」
と、言った。
彼女の目尻にキラっと光るものがあったのはおそらく気のせいだろう。