そこまで話すと、フルーレティはレモンティーを一口飲みホッと一息ついた。
「え、えーっとすごい話だね…」
俺はオドオドしながら言った。
そして、1番疑問に思っていたことを聞こうと再び口を開いた。
「あの、質問なんだけどさ?」
「ん?なぁに?」
「その…『人界を救う勇者』ってのは、
まさかじゃないけど俺じゃないよね…?」
そう。フルーレティの話の最後に出てきた、『人界を救う勇者』。
「何を言ってるの?」
フルーレティは笑いながら言った。

「あなたに決まってるじゃない!」

「は?」

あなたに決まってるじゃない!
あなたに決まってる…
あなたに…
俺の中でフルーレティの言葉がこだまする。
思わず立ち上がって叫んでしまった。
「えええぇぇぇぇ!!」
部屋の中に俺の絶叫が響いた。
「そ、そんなにびっくりすることかしら?」
「そ、そりゃぁびっくりするでしょ!
だって、いきなり『あなたはこの世界を救う勇者です』なんて言われたら誰だってびっくりするだろう!?」
なんで、こんな俺が…
俺は脱力したようにヒョロヒョロとしながら再びソファに座った。
(こんな俺に…弱虫で意気地なしな俺に世界なんて救えるのか…?)
俺がそう思ってため息をつくと、フルーレティは俺の心をよんだかのように言った。
「大丈夫よ。あなたならきっとできるわ!
だって、転生空間であなたを見つけた時、この人だったらこの世界を…私たちを救ってくれるって感じたんだもの。それに、あなたには他の人とは比べ物にならないほどの魔力がそなわっているわ。」
フルーレティの瞳に力強い光が宿る。
「お願い。この世界を助けて!!」
フルーレティはその力強く、そしてサファイアのように綺麗で澄んだ青色の目で俺をジッと見つめた。