あいつと過ごした時間


おれは、あいと2人だけになった。
沈黙が気まずくて、話しかけた。


「今まで黙っててごめん...」

あい「ねえ、本当に今日で最期なの?」

「...ごめん。」


それしか言えなかった。


あい「そっか...」

「本当に楽しかったし、幸せだった。ありがとう。」

あい「こうへい...聞いてもいい?」

「なに?」

あい「こうへいは...あと、どれ位生きられるの...?」


え...?
思わず顔をあげあいを見ると俯いて洋服の裾を握り締めていた。

「んー、どうだろな。俺も分からないけどまだ、大丈夫だと思うよ。」


俺はまたあいに嘘をついてしまった...


あい「そっか...。こうへい?一つだけワガママいっていい?」

「うん。どうしたの?」

あい「抱きしめて...。」


あいの声が微かに震えていた。


「...わかった。」


俺は、思いっきりあいの事を抱きしめた。


「俺も...ワガママ言ってもいい?」

あい「いいよ。」

「嘘でもいいから...俺の事愛してるって言って...」


最低だと分かっていても、聞きたかった。
あいの口から...


あい「こうへい...?」


あいは体を離そうとした。
でも俺は離れないように強く抱きしめなおした。
そして、、

「ごめん...。」

それしか言葉が出てこなかった。



あい「...こうへい。本気で、愛してるよ。」


ビックリした。

凄く嬉しくかった。
それと同時に悲しくもなった...
俺は、我慢してた涙が溢れた。
それに気づいたあいは、抱きしめ返してくれた。


あい「愛してるよ。ずっとずっと。私待ってるから...だから、早く治して退院して来て...」


こうへい「...ごめんな。あい...ごめんな。」


謝る事しか出来なかった。
俺はあいを悲しませる事しか出来ない。
笑顔になんて、出来ないんだ。
そう思った。

俺たちは、抱き合ったまま泣き続けた。