そのまま慶太の振りかぶった拳を避けたかと思えば、バキッと痛々しい音がして、次の瞬間には地面に転がっていたのは慶太だった。
一瞬、何が起きたか分からなかったけど。
すぐに、楓斗が慶太を殴って転がしたんだと分かった。
「……っくそ、やってらんねぇよ!!まじ気持ち悪りぃわ、てめぇら!!」
そう吐き捨てると、そのまま行ってしまった。
それを慌てて追いかける加奈と美奈江。
絵茉は、何故かこっちをじっと見てから慌てて3人を追っていった。
私と目が合ったから、きっと急いで目を逸らしたに違いなかった。
喧嘩っ早くて横暴で、横柄な態度で周りを威嚇しては、人を見下す慶太が負けた姿を私は初めて見た。
あっさり引き下がった事にも拍子抜けした。
「まじで負け犬になったな、あいつら」
まーいいか、って呟いた楓斗はこっちを振り返る。
「ってぇ……流石に殴る方も痛いな」
そう言う楓斗は、殴った掌を空中でヒラヒラさせて、ほんの少し苦い顔。



