「『柳瀬、どこ行った』……だったか?ま、少し違ってるかもしんねーけど、大体こんな感じだろ」
「……っ」
顔面蒼白の慶太は、何かに勘付いたみたいだった。
理沙子姐さんも、美奈江や加奈も。
この場で話が一向に見えてこないのは、きっと私だけ。
「綾瀬も相当ビビってたとこ見たら、こいつら2人揃って追われてたんだろうな」
「びっ……ビビってなんか……!」
咄嗟に口をついたのか、つい口を挟んだ理沙子姐さんの言葉に楓斗は反応を示さない。
ずっと慶太に話しかけてる。
「けど、お前が必死こいて追いかけてたのはこいつだけだろ」
「…そんなん…そん時、偶々だろ…」
「いや?追いついたすぐ後のお前の目線は一度も綾瀬に向いてなかったよ。
お前、こいつしか……」
言いかけて、楓斗の言葉がぷつり、途中で途切れた。
不思議に思って見上げると、にっと笑って楓斗は続ける。
「…天音しか、視界に入ってなかったんだろ?」



