「ああ?てめえの横で縮こまってるそいつらに決まってんだろーが。言ったろ、逃げるから追いかけんだよ俺は。一方的に嬲るより、追い詰めていたぶる方が何倍も楽しいだろ?」
真っ直ぐこっちを見て、歪なほど口角を上げる慶太。
その笑みにぞっと背筋を凍らせたのは私だけじゃない。
隣にいる理沙子姐さんの肩がとん、とぶつかってきて、その体が小さく震えているのが伝わってくる。
力を込めすぎて冷たくなった手に、自身の手のひらを重ねて落ち着かせようと試みた。
けど、きっとあんまり変わらない。
びくりと反応こそ返ってきたものの、振り解かれなかったことに少しだけ安堵した。
「お前、さっき物凄い怒号上げながらこいつら追ってきたよな」
「……」
「その時、何て言ったっけな」
「……知らねぇよ、んなもん…。いちいち覚えてるわけ、ねぇだろ…」
きっと無意識だろうけど、余裕そうだった慶太が、楓斗から距離を取るように一歩下がった。
動揺しているのが私にも分かる。



