5人の王子とお姫様!




「あ、あま…ね…」


あ、また名前……と思った瞬間。



楓斗がわずかに腕を広げるのと、後ろから抱きつかれるのは同時だった。


遠慮のない腕の締め付けに、咄嗟に誰か分からなくて。



「……あ、空…?」


「ん、そう」


肩に顎を乗せてきて後ろから顔を覗かせた空に、硬直した楓斗が数秒後。



「う、あぁああ!!」


一瞬で後ろに飛び退いた。


あまりにキレのある動きに感心したのも束の間。



「お、おおおまっ……いつかっ……そこっ、」


どもり過ぎて何が言いたいのか、分かりそうで分からない。



けど、多分楓斗は『お前、いつからそこに』と言いたいんだろう。


分かりにくい……。


一体どうしたと顔をしかめる私の後ろで、空が答える。



「たった、今……」


その一言で十分だった。


ひとまず、楓斗がほっと胸をなでおろすには。



だけど。



「楓斗、いま天音に……んぐ」


「一番厄介なとこ見てんじゃねーよっ」