5人の王子とお姫様!




これは、“デート”の意味を正しく理解できたからだ。


きっとそう。


心臓がドクン、ドクンと何度も跳ねる。



おかしい、な…。


相手は女嫌いの楓斗なのに。


でも、前に私のこと、嫌いじゃないって言ってくれたし……。



多分、本気で、真剣に聞いてくれてるんだ。


それが分かったから、適当に返事ができなくて、言葉に詰まる。


何か、感じたことのない熱いものが競り上がってくる。



なんだろう、これ。


ごくり、と唾を飲み込んで、乾いた唇を舐める。


声を絞り出した。



「私、は……」


人は緊張すると、声が出なくなるんだと初めて知った。


そして、それは誰にでもそういうふうにはならないと。


きっと、相手が楓斗だからだ。


どうしてそう思ったのかは分からない。



名前のない感情に、心を大きく揺さぶられながら声を振り絞った。



「楓斗と、だったら……行く、と…思う…」


顔が熱くて、まっすぐ楓斗の顔を見られない。