これは、“デート”の意味を正しく理解できたからだ。
きっとそう。
心臓がドクン、ドクンと何度も跳ねる。
おかしい、な…。
相手は女嫌いの楓斗なのに。
でも、前に私のこと、嫌いじゃないって言ってくれたし……。
多分、本気で、真剣に聞いてくれてるんだ。
それが分かったから、適当に返事ができなくて、言葉に詰まる。
何か、感じたことのない熱いものが競り上がってくる。
なんだろう、これ。
ごくり、と唾を飲み込んで、乾いた唇を舐める。
声を絞り出した。
「私、は……」
人は緊張すると、声が出なくなるんだと初めて知った。
そして、それは誰にでもそういうふうにはならないと。
きっと、相手が楓斗だからだ。
どうしてそう思ったのかは分からない。
名前のない感情に、心を大きく揺さぶられながら声を振り絞った。
「楓斗と、だったら……行く、と…思う…」
顔が熱くて、まっすぐ楓斗の顔を見られない。

