5人の王子とお姫様!




あいにく全く聞いていなかった。


楓斗は、首の後ろをさすりながら、視線を彷徨わせていて。



何か大事なことを言っていたのかもしれないと、姿勢を正して先を促す。



もう一度言ってもらえるかと、視線で訴えると何故か楓斗は顔を赤らめた。


ついでにそっぽを向いたものだから、ますます気になってしまう。



「楓斗?」


名前を呼ぶとピクリと反応してゆっくりこっちに視線をよこす。



「だから、お、俺とだったら……行ってたのかよ……って、聞いたんだよ…」


「……?」



行く……って、どこに…?


頭にクエスチョンを浮かべた私の疑問は、表情に出ていたんだろう。



「いや、だから…」と、イヤにもごもごしながら言葉を発する楓斗。


対する私は、首をひねるばかり。




「その………俺とだったら、デートに……行ってくれてたのかよって、聞いてんだよ…」


「……」



異様に顔を赤くして、視線がキョロキョロせわしない。



「…っ」


楓斗の言わんとすることがようやく分かって、急に恥ずかしくなった。