むっとして聞き返す実行委員の男子に、待ってましたと言わんばかりににんまりと口を歪めて笑うと、彼は言った。



「和風なんだから、服装もそれらしくしようって事だよ。男子は制服の上からはっぴ着てさ、んで女子は超ミニの浴衣。ちなみにフリル付き!」



学年でエリート揃いのAクラスの生徒が発したとは思えない提案に、え……と口をあけて惚ける。


だって、このクラス……


いや、この学校……私と理沙子姐さんの女子2人しかいない…。



予感をも通り越した嫌な確信に、無表情で視線は宙を泳ぐ。


「おーい。柳瀬の目が据わってるぞー。いいのか本人無視して決めても」



後ろから先生の声がかかった瞬間、教室中のほぼ全ての視線がこっちに向く。


……な、なに…?


思わず怯む素振りを見せたところで、口々に皆が頭を下げた。